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インテリアショップのリノベーション【その1】

理想の住まいを実現するには、
・家を建てる
・気に入った物件に引越する
・住んでいる家をリノベーションする
という方法があります。
実際に築30年の戸建て住宅で「インテリアショップのリノベーション」を参考にしながら順を追ってご紹介していきます。

リフォームとリノベーションって何が違うの?

リフォームとリノベーションって一体何が違うの?という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

どちらも「改修工事」であることに違いはありませんが、
・リフォーム:
老築化した状態から新築に近い状態に戻す工事
例)傷んだ壁紙や床の張替え
・リノベーション:
間取り変更などによって新たな付加価値を生み出す工事
例)間取りや設備の位置変更を伴う

と考えるとわかりやすいかもしれません。理想の住まいの実現にはどちらが良いのかを考えてみましょう。

リノベーション(リフォーム)で最初に必要なこと

ビジネス用語でよく聞く「5W1H」をリノベーションでも利用すると、希望が伝わりやすく話が早いという利点があります。

■いつ(When):いつ頃リノベーションしたいのか?完成希望時期を具体的に
■どこで(Where):現場住所・図面を持参(相談段階では正式図面でなくてOK)
■誰が(Who):
■何を(What):キッチン・洗面・トイレ・浴室など何を?
■どのように(How):現状の写真とイメージする写真などがあれば持参

さて、誰が(Who)という項目が空欄になっています。
誰が(どの業者が)施工するのか、を決定しなければ話は進んでいきませんが、業者選びをする際に必要になるのが「予算」です。
予算と言われても、何にどのくらいの費用が掛かるのか全く見当もつかないという方も多いでしょう。
しかし、最大でどのくらいまでの予算が許容範囲なのかを自分の中で決めておくことは大切です。無い袖は振れませんが、多少の予算オーバーでも許容できるのか、予算が決まれば施工業者の絞り込みができるからです。

【代表的な施工業者】
・大手住宅メーカー
・設計事務所
・地元住宅メーカー・工務店
・インテリアショップ

一般的な考え方ですが、有名建築家が在籍する設計事務所などはデザイン費も入りますので少し高め…と想像できます。予算を抑えるなら地元工務店という声も聞かれます。しかし、一般的なリフォームになりがち、という残念な結果に終わることもあり、一長一短ありますので、施工例や提案力を総合的に判断することが大切です。
予算を伝えることで、
「弊社は予算内でここまでの工事しかできません」といったことになるかもしれません。しかし、
「ここをこう変更したら予算に近づけることが可能です」といったように代替案をもらえる場合もあります。
最終的には費用に見合った満足度を得られるか、が施工会社を選ぶ際の大切なポイントです。

リフォームとリノベーション、どっちにする?

今回ご紹介するリノベーション物件は、築30年、1995年の阪神大震災で全壊し、その後建てられた2所帯住宅仕様の戸建て一軒家です。

持ち主であった祖父母様が亡くなった後、賃貸物件として貸し出すことも考えておられましたが、いざ見積もりを取ってみたリフォーム工事で結構な金額になるのを知り、どうせお金をかけるならリノベーションをして親族に住まわせる方向で考えたいと相談に来られました。インテリアショップでのリノベーションとなったのは、施主様のインテリアの好みやイメージがはっきりしていたからです。

ちなみに賃貸を提案された際のリフォーム工事は、
「キッチン・トイレ・洗面・浴室の入替え /  畳をフローリングに変更 / エアコン入替え 」を既存メーカーカタログから選び施工するという内容でした。

ということで、間取りを変えてイメージを一新するリノベーション工事をご提案し施工することになりました。
施主様の許可を得て、リノベーション工程を公開できることとなりました。

↑リノベーションを依頼された物件の外観。2所帯住宅なので玄関扉が正面に2枚ある。

施主様の希望をヒヤリングする

リノベーションを進めていくうえで、最も大切な工程が「お客様の希望のヒヤリング」です。
施主様(お客様)は専門家ではありませんので、自分の好みがはっきりわからないといったこともあります。

今回の施主様の希望は大きく3点。
かねてより祖父母から「大きな災害を経験しているので、基礎工事と強度にこだわって建てた」と聞いていたので
①できるだけ柱の位置を変えずに、イメージを一新したい
②生活感を出さずにすっきりと暮らしたい
③冬場の寒さを考慮し床暖房にしたい

物件の外装カラーはグレー色、窓枠はブラック色です。
1階のメインカラーを外装に合わせてグレー色とブラック色にし、従来の和テイストからモダンスタイルに変身させることで「すっきり」感を演出、
モダン一辺倒にならないように、照明などのインテリアで北欧テイストの柔らかさを取り入れ、居心地の良さが感じられるミックススタイルをご提案しました。

①柱の位置を優先する

施主様のご希望に沿って、家の強度に深くかかわっている柱の位置を確認し、柱の位置をできるだけ変更しないことを優先
①ビフォーでは4つの空間➡アフターでは独立していた納戸を小ぶりな和室に作り替え、ガラス戸で間仕切ることで全体を見渡すことができる1つの空間に。
キッチンの位置を変更、戸袋を取り外し、圧迫感をなくし、段差のない広々バリアフリーの間取りをご提案しました。

↑施主様がお預かりした1階図面。リノベーション前には ①和室6畳 ②和室6畳 ③納戸 ④ダイニングスペース と4つの空間に細かく分かれています。

↑リノベーション案は、施主様より希望にあった、柱をできるだけ温存しながらイメージを一新する案です。
【キッチン+ダイニング】:既存の対面キッチンでは天井から降りている収納吊り戸がダイニング空間と分けているので取外し、キッチンの位置を変更する案をお出ししました。
【納戸】:納戸周りは、階段を支える柱・家を支える柱などがあるため、リビングに取り込み一体化するのはやめ、その代わりに小さな和室空間を作ってみてはとご提案しました。。和室2方向の扉をガラス戸にし開放した時にリビングと一続きの空間として認識できる案です。
【和室2つ】キッチンから続く見渡しのよい空間をご提案。

 

②生活感を無くす方法

まず、日常生活で必要があるのは何なのか、無作為に書き出してもらいました。
【家具】
 ・ダイニングテーブル / ソファ
【家電】
 ・テレビ
 ・パソコン
 ・冷蔵庫
 ・電子レンジ
 ・炊飯器
 ・ポット
 ・コーヒーメーカー
 ・ホットプレート
【キッチン】
 ・鍋などの調理器具
 ・食器
 ・ゴミ箱(最低2個)
 ・食材のストック(お米・調味料)
【トイレ内】
 ・清掃用具(ブラシ・洗剤)
 ・トイレットペーパー類(ストック)
 ・ダストボックス
【洗面所】
 ・タオル/バスタオル
 ・洗濯かご2個
 ・洗剤(洗濯用・浴室用・消臭スプレー/歯磨き粉などストック)
 ・シャンプーリンス(ストック)
 ・ダストボックス
 ・ドライヤー
【玄関】
 ・傘
 ・鍵(自転車等)

【その他】
 ・ピアノ

これらをすっきりと収納して生活感を無くすには…。
考え出したのは、もともとあった押入れを収納庫にすることで、これらを一気に収納する方法です。
元の柱を活かすこともできますし、扉を閉めれば生活感が一気になくなります。
もちろん、「すっきり」がポイントですので、壁一面を同素材で統一していきます。
その他、トイレ・洗面所といった場所ではさらに小ワザを駆使しすっきり収納を進めていきます。

平面図を3D画像にし、施主様がイメージしやすくしていきます。
元々あった押入れや柱を利用し、壁一面を天井までの収納庫にすることをご提案しています。
 

↑平面図だけでは想像が難しい細かな箇所も、3D画像ではリノベーション後の完成がイメージしやすいです。

③床暖房

電気の床暖房、ガスの床暖房、それぞれにメリット・デメリットがあります。
今回は、キッチンの前とリビングにガス床暖房を採用することが決まりました。

インテリアショップのリノベーションって何が違うの?

インテリアショップのリノベーションは何が違うのか、を説明します。

工事内容自体に大きな変わりはありません。
日頃から照明・カーテン・家具を取り扱うインテリアショップでは、工事に入る前から施工後の住空間をトータルにイメージしながら素材を選んでいくことができます。もちろん家具を新しく買い替える必要はありません。

【メリット】

・平面図だけでなく3D利用でイメージしやすい提案をしてくれる
・理想のイメージに近いトータルコーディネートが期待できる
・手持ちの家具に合わせた床材や壁材を提案してくれる
・輸入壁紙など選択肢が広い
・カラーコーディネートを提案してくれる
・照明の選択肢が多い
・広さや雰囲気に合わせた照明を提案してくれる(実物を見ながら相談できる)
・工事段階から照明の位置・長さ、家具の配置を相談できる
・カーテン・ブラインドを部屋の間取りや雰囲気をみて相談できる
・キッチン・家具をオーダーすることができる

【デメリット】
リフォーム(トイレ・洗面所の入替えなど)で一般的な素材使用の場合は地元工務店が便利

既に工事業者が決定し、工事が進んでいく中で照明や壁紙の相談にインテリアショップを訪れる方が多いのですが、その段階では決定していることも多く、「こんな選択肢を知らなかった」「こうすればよかった」と後悔するケースも多いようです。
壁紙や照明にこだわりがある場合は先にインテリアショップに相談してみる、又は法人向け販売を行っているインテリアショップを利用して、ハウスメーカー・工務店・インテリアコーディネーターと一緒に照明打ち合わせをするのもおすすめです。

この後の工程は、インテリアショップのリノベーション【その2】へと続きます。